空手とは(小学生、保護者向け)

首里城での練習風景 - 1938年(昭和13年)
首里城での練習風景 - 1938年(昭和13年)

空手の発祥の地は日本の沖縄です。

 

沖縄は昔、日本ではなく琉球王国「りゅうきゅうおうこく」と言う国でした。

 

この頃は、空手「からて」ではなく琉球の言葉で手「ティー」と呼ばれていました。

 

琉球王国は台湾や中国にも近いので、沖縄から中国に習いにいったり、沖縄に来た中国の人に教えてもらって、中国拳法の良いところを取り入れました。この頃から手「ティー」は、中国を意味する唐の字を入れ唐手「トゥーディー」と呼ばれるようになりました。

 

琉球で唐手が盛んだった場所は3つあり、王様のお城があった首里「しゅり」、港町の那覇「なは」と泊「とまり」です。

 

首里には王様を守る士族たちが沢山住んでいて唐手を習い、その唐手は後に首里手「スリディー」と呼ばれることになります。

 

ただ、その技や稽古の方法は秘密とされ、先生から弟子に話して伝えられ、普通の人は習えません。

 

秘密が漏れないように本もありません。でも言葉だけでは教えられないので、形「かた」を作り、教科書の代わりにしました。

琉球王
琉球王

 

 

しかし、明治の頃、琉球王国はなくなってしまい、日本の沖縄になります。

 

王様や士族もいなくなり、反乱を起こさないよう唐手を教えることも禁止されました。

 

琉球王国と一緒に唐手もなくなってしまいそうになったのです。

 

その時、糸洲安恒(いとすあんこう)と言う唐手の先生が、中学校で唐手を教えるよう日本にお願いして、学校の体育として唐手を残すことにしました。

 

この頃、唐手「トゥーディー」から日本の読み方の唐手「からて」になり、さらにその後、空手へなりました。

 

糸洲安恒先生
糸洲安恒先生

糸洲先生は、中学校で唐手を教えられるよう日本の学校の先生にお願いした時に出した手紙でこう言っています。

 

「唐手は、自分が強くなることだけが目的ではありません。大事な人が危ない時、自分の命をも惜しまず、正義と勇気を持って守るためにあります。

だから、決して一人の敵と戦うためのものではなく、もし乱暴者や強盗から襲われそうになっても普段の練習の成果により、なるべくうまく退散させることです。

決して突いたり蹴ったりして人を傷つけることがあってはなりません。このことが、本当の唐手であることを、強く肝に銘じて欲しいものです」

 

このように空手は自分が強いことをひけらかしたり、他人をイジメたり、ケンカをするのための道具ではありません。自分を鍛え、大切な人を守るための物です。

 

このことを忘れずに練習に励んで下さい。

 

糸洲十訓
糸洲十訓

保護者の方へ

私達が教える空手「首里手」は、琉球士族達が伝え、琉球王国の消滅とともに失いかけた物を先人達が必死に守った本物の空手であり、メディアで盛んに喧伝し興行を行ったり、暴力のための道具ではありません。

 

子供たちのやる気を起こさせるため競技にも参加しますが、本来の目的は君主や家族など大切な人達を守り、自分の精神と肉体を鍛えるための崇高な物です。

 

なので、お子さんが競技で強くなれなくても悲観しないでください。競技など空手のほんの一部でしかないのですから。

 

大事なのは、努力し続け決して諦めない心、恐怖心に打ち勝ち強者にも立ち向かえる勇気、弱者への優しさ、礼節、そしてそれが成し遂げられる丈夫な体です。

 

空手の稽古を通じて、お子さんたちがそのような大人になれるようお手伝いさせて頂ければ、空手を教え伝える者としてこの喜びに勝るものはありません。